今回は、組織力についてのお話です。
営業職の方々に営業を教える機会を持たせて頂き、ひとりひとりと関わる中で、つくづく思うことがあります。
それは、自分の考えを理解してくれたり、自分の良さを認めてくれる人といることが、どれだけ人を前向きにさせ、成長を促すのか、ということ。
技術を学ぶよりも何よりも、たったそれだけのことで、人は、例えそれ以外のことが何も変わっていなかったとしても、大きく前進する事が出来るのだと、感じます。
よく、マネジメントをしている方との話の中で出る議論として、「褒めて伸ばすか」「叱って伸ばすか」という議論がありますが、答えは「両方」。当然のことながら、どちらか一方だけで人の成長を促進することは出来ません。
以前、ライフネット生命の出口会長のお話を伺った際にもおっしゃっていましたが、上手くいっている組織は、褒める:叱る:怒るの割合が、7:2:1なのだそうです。出口さんによるとこれは、データでも実証されていることだそう。
奇しくも私の尊敬するコンサルティングの師匠も、全く同じ事を、経験値として語っていました。
・・・ということで、皆さん、「褒める」「認める」マネジメントをしましょう!
という事が言いたいのではなく、本題はこれからなのですが、
そうは言っても、10のうち7褒めることを、毎日接している部下や仲間に対して行うというのは、結構大変な事でもあったりします。
しかし、この7褒める、という意味合いの中には、「存在を認める」とか「包容する」「愛する」「信じる」ということも、含まれており、必ずしも言葉だけで褒めたり必要以上に他愛もないことを取り上げて褒めるということをする必要はないのです。
例えば、朝、目を観て挨拶をする、とか、受注が決まったら一緒に喜ぶ、とか、恋愛を一緒に応援するとか、今関心のあることを知っておく、とか。
いわば、「全員を主役にすること」。その事のほうが、大事なのです。
|承認される風土の上に、「切磋琢磨」「挑戦」が生まれる
こういった「承認」の積み重ねによって、社員ひとりひとりが、自分の仕事を ”前向きに”「自慢」出来る様になります。
誰に褒められなくても、自分で明るく前向きに、自分の努力や仕事の成果を自慢することができる。そして仲間も、それを一緒に喜び、努力を讃える。この雰囲気が大事です。
それが続いていくことによって、やがて組織風土は、「相互理解」や「協力」や「挑戦」「切磋琢磨」が出来る風土になっていきます。
|放っておいても勝手に成長する「全員が主役の風土」を創る
実は、私は、リクルートの組織の強さを形づくっている要素のひとつも、ここにあると感じています。
もちろん、組織風土は、理念浸透や評価制度などによって形づくられるところが大きいことは言うまでもありませんが、それと同じくらい、仲間に対する興味関心、愛情、尊敬の念を持つこと、そういう「空気」を創ることが重要。リクルートには、それが自然に定着するような、大小様々な仕組みがあります。
社内表彰制度、毎月行われる納会、ゲーム形式で競い合いながら行うテレアポ大会、役職に関係なくあだなで呼び合う風土、個人だけでなくチームや課単位のインセンティブ、得意な人が講師をつとめる社内勉強会、全員が考えて発言する会議スタイル、どんな時も大義に立ち戻る考え方、等々・・・
実際、私が在籍していた時も、目標を達成出来るときも出来ない時もありましたが、いつも仲間は自分の頑張りを見てくれている、と感じる事が出来ていましたし、個性が受け入れられていると感じていましたし、会社は、営業結果と同じくらい、お客様の為を考えて動いているかを見ている、という感覚がありました。
勿論、正直、激務でしたし、日々高い目標を追うのは大変でした。高い目標を追うからこそ、本音をぶつけ合わなければならない場面も多々ありましたが、常にお客様の期待に応える事、結果を出す事に拘って邁進した日々は、間違いなく今の自分を創ってくれていると感じます。
また、大手自動車メーカーや地方の優良企業など、特に創業何十年も続いているような企業、変化に対応しながら何十年も生き残って来た強い組織にも、形は多少違えど、少なからず同じ要素があると、感じています。
マネジメントで個人を開花させる事は出来ますが、組織全体をマネジメントだけで強くするには限界があります。
放っておいても個々の才能が開花し、勝手に成長していく。そんな組織を創るには、「一人ひとりが主役となり、自慢出来る風土」と「それを定着させる仕組み(制度)」を創っていくことが、必要です。
今回は以上です。
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【研修だけで大丈夫・・?評価と育成と風土はワンセット】https://croscon.co.jp/blog/?p=67
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