今回は、強い組織の「人事のわかるリーダー」が持っている、「持ち味」という概念についてお伝えして参ります。
前回のコラム「016. なぜ、強い営業部には、人事のわかるリーダーがいるのか? これからの中小企業に欠かせない「人事」の概念」でもお伝えしましたが、
変化の荒波にのまれることなく成長し続ける強い組織には、必ず、(言葉にするとつきなみですが)人を活かすという考え方があり、そこには必ず、人事のわかるリーダーが存在します。
人事のわかるリーダーとは、人の採りかた、活かし方、効果的な配置のしかたを知っているリーダーです。
部下の管理方法ではなく、部下を活かす方法を知っているリーダー。部下に常に答えを与え続けることなく、部下が自ら答えを探そうとすることをお膳立てできるリーダー。
こういった、人事のわかるリーダーは、部下の「持ち味」を理解し、活かすという考え方を、持っています。
諦めずに関わり続けた結果、部下との心の距離が離れてしまうという皮肉
先日、ある中小企業の営業部長と、1ヶ月の振り返りを行なっていた時のことです。その営業部長は、数ヶ月前から、特定の数名のマネジメントに苦戦していました。
自分と性格が違って、何を考えているのかわからない。こうしろと言ってもなかなか思うように動いてくれない・・・とのこと。
数ヶ月前から、自分としては「諦めずに関わり続ける」ということを意識して動いていたが、いよいよ最近では、他愛もない会話そのものも、続かなくなってきてしまい、もうどのように関われば良いのか分からなくなってしまったということでした。
ー「諦めずに関わり続ける」とは、具体的にはどのように関わり続けたのですか?
私が伺うと、このような答えが返ってきました。
ーはい。いつもであれば、どうせ言っても無理と諦めてしまうところを、諦めずに、「このように動いたほうが良いよ」とか、「こういう気持ちで仕事に取り組んだ方が良いよ」など、細かく、アドバイスをしたり、関わるようにしました。
これでは皮肉にも、部下との心の距離が離れてしまうのは必然です。
熱心に部下のことを想えば想うほど、自分のやり方を押し付けてすれ違ってしまう。そういうつもりはないのに、そうなってしまう。このようなことは、とても多くの企業で起こっていることだと思います。
強い組織のリーダーは、「部下の持ち味を理解する力」と「部下をブランディングする力」を持っている
大前提として、皆様ももうお解りの通り、これからの時代のマネジメントは、過去の成功事例の型にはめたり、上司の背中を見ろ、と一つのやり方を押し付けるというようなやり方ではもう通用しません。
社員の価値観が多様化し、皆がトップ営業に憧れるという時代でもなくなりました。
これまで歩んできた道がそれぞれ違うのはもちろんのこと、目指す未来も、大切にすることも、皆、想像などできないくらいに多様です。
だからこそ、上に立つリーダーは、一人一人を理解することが求められるのですが、ただ単に、部下が言っていること聞く、ということでは、残念ながらマネジメントはうまくいかないわけです。
そこでキーとなるのが、リーダーの「部下の持ち味を理解する力」と「部下をブランディングする力」です。
強い組織のリーダーは、部下の持ち味を理解し、部下が社内外でどのような存在と認知されればより活きるのか・・・それを考え、本人に伝えたり、場をお膳立てしたり、自分で動くように励ましたりしながら、成長を支援しています。
その結果、部下は自分の強みを客観的に理解し、自分がどこでアクセルを全開に踏むべきなのかを知ることになります。
また、上司と部下が、自分の持ち味について話をする場を持つことにより、部下は自分のアイデンティティを確立していくため、より強い自己主張や、自信のある言動が生まれ、営業成績も伸びていきます。
また、「〇〇さんと言えば■■」というように社内外でブランディングされ、存在感を増していきます。
言い換えれば、上司が部下の持ち味を理解し、それを本人に伝えて共に伸ばしていく取り組みが、部下のやる気スイッチをオンにしているとも言えるわけです。
「持ち味」とは、その人の根っこにあるもの。他の人にない特有の味。
では、部下の「持ち味」とは、具体的にはどういったことを指すのでしょうか。
これは、仕事以外のことを話して、好きなことや趣味などを理解する、というような、薄っぺらい話ではありません。
・この人の根っこの部分にある、絶対に譲れない価値観は何なのだろう?
・この人の根っこの部分にある、抑えることのできない欲求は、何なのだろう?
・この人の根っこの部分にある、他の人にない個性は何なのだろう?
・この人の根っこの部分にある、生まれ持った才能は何なのだろう?
こういったことを、理解する、ということです。
「持ち味」を辞書で調べると、「食物に本来備わっている特有の味」「作品や人物などが持つ独特の味わい」などと出てきます。
「本来備わっている」「特有の」「独特の」というところがポイントです。
その人の根っこにあるもの。他の人にない独特の味。それが「持ち味」です。
その人の根っこの部分にあるものは、親・兄弟・育った環境…などから形作られていくことが多いでしょうし、後天的に体験してきたことや、関わってきた友人、挫折などの衝撃的な経験などは、考え方や、その人が持つ味わいのようなものに影響してくるでしょう。
そういったひとつひとつを、対話や、あるいは他の関わりを通じて理解する力、そして、その持ち味をどう活かすかをデザインする力。これは、マネジメントに限らず、採用や、人事異動などにも大きく関わってくる力なのです。
いかがでしたでしょうか。
「持ち味を理解し、部下をブランディングする力」。御社のリーダーは、お持ちでしょうか。
ぜひ一度ご確認頂き、御社の組織づくりにも取り入れて頂ければと思います。
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